MIKAN SHIMOKITA
変わるものも
変わらないものも
内包する、未完。
MIKAN SHIMOKITA
変わるものも
変わらないものも
内包する、未完。
2022年に開業した『ミカン下北』は、京王井の頭線下北沢駅の高架下における複合施設である。個性豊かな飲食店を中心とする商業エリアとワークプレイスが同居する5街区から構成され、新しい下北沢の形を提案するこの大規模な再開発プロジェクトで、企画から建築・環境デザインを手がけた。
下北沢は、劇場、古着屋、ライブハウス、喫茶店、バー…と、古くから多様なカルチャーが根ざす街である。街を歩けば、小路の極狭空間に置かれた小さなテーブルでくつろぎながらコーヒーを楽しむ人の姿もある。再開発と名を打った一大プロジェクトではあるが、そのような昔ながらの下北沢の良さを守りたい。下北沢らしさとは何かを幾度も考え、考え直し、「未完成」であることが特徴であるというアイデアに行き着いた。
「未完成=進化の途中」という勢いを象徴するように、ハードの躯体とソフトの内装を分けて設計するスケルトンインフィル工法によって、荒々しくも自由に積み上げられた鉄骨とコンテナの建築を採用した。未完成がゆえに、組み替え、再構築することが無限に可能であるという豊かなイメージを描いている。また、テナントとなる各店舗のファサードデザインはあえて統一し施設の顔を守ることで、他の街の商業施設にありふれた外観との差別化を図った。
キーワードは未完成の許容。これからも変化し続け、未完成だからこそ時代に柔軟に対応できる建築をデザインした。
人のエネルギー、カルチャーが建物から滲み出ている下北沢の街。あえて曖昧にさせたリースライン、鉄骨とコンクリートで荒々しくもシモキタらしい建築デザインに。
ひとえに「街並みを紡ぐ」という曖昧な言葉に傾倒せず、未完だからこそ、下北沢に集まる誰もが参画できるこれからの未来を想像させ、変化に柔軟に対応できるプラットフォームとなる建築物を目指したのだ。
Yuta Yamamoto
私は「この感じであり続けてほしい」と思うことが多い守っていく側。だからこそ思い切ったことができる。
建物を建てる際、リスクだけしか言わないことが大半である。
至る所で起きている“街の同質化”を防ぎたいと思う。
どの街の商業施設もテナントが似てくる。それによって、個性がなくなる。そして、「昔は良かった」という言葉につながる。
テナントに依存しない建築を作りたい。弱者の逆襲のように。
物事はよく保守か革新かで区切られるが、保守と革新の分かれ道はどこなのか、その2択しかないのか、そこを興味深く考えたく思っている。
変わらないでほしいのに、新しいものを作らないといけない葛藤は常にある。
コンテナ色の組合せ検証
建築には、わざわざ訪れる人も、ただ通過するだけの人もいる。どちらも想像しながらアジャストしていく。
環境自体を設計するのも、インテリア空間をデザインするのも、大きさは違うけれども緩やかにつながっている部分がある。