Salone del Moble.Milano 2024
≪Pointillisme≫
家具を、
家具から切り離した世界へ。
Salone del Moble.Milano 2024
≪Pointillisme≫
家具を、
家具から切り離した世界へ。
毎年4月、イタリア・ミラノで開催される世界最大規級の家具の見本市、通称ミラノサローネは、プロダクト・インテリア業界を牽引するプロフェッショナルが世界中から集結することで知られる。2024年、DAFT about DRAFTは前年に続き2度目の出展となった。
テーマに掲げたのは「Pointillisme」。すなわち「点描画」である。それを空間全体を使い光によって表現したいと考え、約1万3000個もの透明な球体をミラー張りの天井から吊り下げたインスタレーションを制作した。等間隔に並んだ直径5cmの球体群は光を乱反射し、見る角度によって様々な表情を見せる。さらに、球体によるいくつもの規則的な列の交差によって、視線は奥行きを持つ放射状の直線へと導かれていく。人間の視線とは、目と対象物を結ぶ直線であることを私自身も初めて実感できる空間となった。その周囲にDAFT about DRAFT の家具を16点配置して見せたが、見方によっては、家具が主体とは言えない展示でもあったと言えるだろう。
放射状に落ちる光の乱反射のグラデーションもまた、空間に動きを与える仕掛け。
閉鎖的なトレンドを感じるなか、ひときわ異彩を放つインスタレーションに、行き交う人は足を止めてスマートフォンを取り出し撮影をする。その光景は、綺麗な景色や美味しそうな料理を見た時に撮りたくなるのと同じだった。
私は近年のミラノサローネを訪れるたび、商業的な要素がより強くなっていることを感じていた。そこで失われつつあるものは、遊び心ではないだろうか。そもそもDAFT about DRAFTのネーミングは、遊び心に溢れた自由でユーモアのあるデザインがしたいという思いを込め、「…に熱中して・夢中で」という意味を持つ「daft about〜」に由来するものだ。
消費者に生活のシーンを連想させるように、リビングや寝室らしき空間を演出して家具を置くというやり方は、素朴につまらない。家具を家具から切り離した世界観の中に置いてみる。そんな遊び心をもってデザインをしていきたいと、改めて考える機になった展示となった。
Miki Kikuchi
空間があり、その中に人がいてこそ家具が存在する。家具が中心ではなく、スペース全体を使い空間の面白さを見せたかった。
せっかくならば、放射状に続く球体を追いかける視線を中断したくないと思った。だから、家具は周囲に置くことにしたのだ。
今回もひねくれた視点で取りかかった。でも、元来ひねくれているのだと、いつも思い直すことになる。
「どうしてこれをやったのか?」という質問にひとつ真面目に答えるとしたら、「面白いから」であろう。
初めは、戦場ヶ原のようなススキの穂の群れの上に家具を置きたいというアイデアが浮かんだ。しかし、最終形はその要素はまったく残っていないものとなった。
エレガントでありコージーでもある。異なる2つの要素を共存させる“矛盾の遊び”は、得意とするデザイン表現のひとつ。
人は綺麗なものを見たり感動したとき、無意識にカメラを向けたくなるし自分を収めたくもなる。その様子にはポジティブな感情が感じられる。
ミラノサローネのようなイベントには、ビジネス的になりすぎず、「祭りである」という気持ちをどこかで持ち合わせていたい。
コーディネートされたものをそのまま受け取るのではなく、もうちょっと自由に、自分たちで面白いものを選び取るというプロセスがあってもいいのではないか。
デザインした家具の撮影をする時、家の中に置かれた風景よりも、例えば波打ち際とか、想定外の場所に置いてみるほうが、ざわつき感があって面白い。