Wolfgang’s Steakhouse
by Wolfgang Zwiener TEPPAN
閉ざしながら開く、
人と人の心地いい
距離感。
Wolfgang’s Steakhouse
by Wolfgang Zwiener TEPPAN
閉ざしながら開く、
人と人の心地いい
距離感。
銀座に位置する『ウルフギャング・ステーキハウス TEPPAN』は、世界各地に展開するニューヨーク発のステーキハウス、Wolfgang’s Steakhouseの初となる鉄板焼きをコンセプトにした1号店だ。日本から世界への発信を見据え、デザインコンセプトの「ZEN」を核に、ウルフギャングのエレガントな世界観を設計した。
まず、お行儀の良い場をつくりたいと考えた。マナーというルールに似た言葉とは異なり、日本人特有の凛とした気配を漂わせながら押し付けがましくない形で楽しめる空間である。それをインターナショナルなデザインによって演出したい。日本古来の禅の思想にアイデアを得て、引き算の発想によってディテールを引き立たせていく。時の移ろいと共に変化する石や木などの自然素材を使い、無骨さと繊細さをあわせ持つ本来の表情と魅力を最大限に生かしたことが特徴である。
石や木の無骨で繊細な自然素材を生かす、引き算のデザイン
居心地の良さと、緊張を和らげる効果をもたらすために、人と人との距離感を考慮して空間を配置する。
銀座の喧騒のなか静かに佇むファサード。その入口は長く連なるリブ壁面の途中、TEPPANの文字と共に現れる。
ファサードはあえて大胆に閉ざし、ウルフギャングの高級感を象徴するように、外部から分断することで別世界へと誘う。ファサードとは対照的に、入口の通路を進んだ先は、内部にのみ存在する“親密かつ開放的”という空間を意識した。その“親密かつ開放的”な空間の拠り所として、人と人の距離感が一つの肝となる。座って食事を楽しむ人と、空間の中を移動する人。プライベートを損なわない物理的な距離は保ちながら、ふと重なり合う瞬間が生まれる角度を考慮する。鉄板を眼前にするカウンター、個室、バーラウンジの配置に工夫を凝らしたことで、エレガントさはそのままに、居心地のよさと、緊張を和らげる効果をもたらした。
Maki Watanabe
Masumi Shimada
Aiko M. Ordovez
Naohiro Sunako
和の要素がほしいから、日本庭園、枯山水。自然だから、緑。そういった直球表現ではないものにすること。見た目ではなく思想をベースに考える。
終始ロジカルにデザインすることもあるが、一つのワードから最後まで作ることもある。
簡素ではなく、価値の最大化。
ただ削ぎ落とすだけでなく、人の技術と感性によって、素材が本来もつ表情や造形の魅力を最大限に引き出すことが、禅という概念の根幹にある。
普通は、単価が高い個室は景色がいい窓のそばに設計するものだが、その考えにとらわれず、組み替えて空間全体のバランスを考える。
天井のディテール検証
透明度の高い空気を保つことは居心地のよさにもつながる要素で、技術的な空調設計は必然だ。だからこそ、大型の空調機材をデザインにどう溶け込ませるのかというのは大事なことである。
どんなに高級に振ったとしても、緊張感を与えすぎたくない。どのプロジェクトでもその「気持ち」を空間に入れ込むことが僕の特徴として言えると思う。
テーブルとテーブルの距離感とか、椅子と椅子の距離感というのは実はすごく大事。人は、中途半端に空間が開きすぎると、逆にオープンマインドになりにくいもの。だから、そのバランスが重要だ。
人それぞれが持っているパーソナルのゾーンを、偶然を装って交差する瞬間を作る。そんな操作を感覚的に、あるいは意図的にすることがある。
検討段階の動線イメージ
人と人の間の距離感は、立っている時と座っている時で違うと感じる。
このお店で自分が好きな場所は、食事を楽しんでいる人たちが見渡せる場所。決して景色とかはないが、そんな場所。